皆様、本日は我々のファミリーコンサートのためにようこそおでかけ下さいました。
皆様一人一人の温かい御協力を深く感謝します。私達もファミコン四回目を迎え、大きな
よろこびを感じます。生活の場が異なり、何をするにも暇とお金のない私達が何故わざわ
ざ小さな保育園に、なかには一時間以上も電車にのり、なかにはご飯も食べる時間もなく
かけ込んできて合唱するのだろうかと考えてみたら、結局音楽が好きなんだという答えで
した。私達は歌う事がただ好きなだけかも知れません。世の中に音楽をきらう人が何人い
るでしょう。私達の存在はこんなに一般的でありふれています。そして練習時間は週に四
時間でこれも他と大して変わっていないので、全くどこにでもころがっている石ころのよ
うに見えだしてきました。

　しかし、この「好き」という事がなんと偉大な力を含んでいるかようやくわかりかけて
きました。好きという原動力が働き、技術の向上を願い、歌うことへの責任をもたせ、時
間に一分でもおくれまいとご飯も食べずにかけて来るのです。そして、庶務、生涯、技術、
記録、会計、人事部といった運営機構の中で、各自の分担を果たすため活動し、歌の合間
にそれらの報告を各部チーフが行いさらに以後の方針をマネージャー、チーフその他から
なる代表者会議で討議します。あの原動力が何と人々を動かしていることか。そうやって
出来上がったものの一つが今夜のファミコンなのです。

　私達は今、共同で一つの大きな城を建てているのかも知れません。今その一部ができあ
がりました。すばらしいものを一生懸命作ってみたいからです。作り上がったら、外から
ながめるのか、人にささげるのか、売るのか、貸すのか、自分達が住むのか、わかりませ
ん。もしかするとこれはいつまでたっても出来上らないかも知れません。

　今回は四回目のファミコン、練習をつみかさねみんなで創り出すよろこびがありました。
さらに今宵舞台と観客席とが一緒になって何かよいものが生まれれば、よろこびが二つに
なりこんなにうれしいことはございません。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（山内）