”アルベルネ・ユーゲント・コール”−この奇妙な名の合唱団と私のつき合いが、も
う五年目になりました。たしか第一回のファミリー・コンサートのプログラムで私が
「音楽的には全く幼い」と書いて、一部メンバーの機嫌を損じたのは、丁度二年前です。
　そしてその後、彼等一人一人の熱心と友情が、予想以上に実を結び、合唱コンクール
で栄誉を受けたりしてしまいました。
　私はこの幸運にケチをつけるつもりではありませんが、一位のタイトルは恐ろしいも
のです。内部的にはどうしてもおごりや気のゆるみが出るし、外部からはよくて「当然」　
一寸ヘマをすれば「アレでも一位か」と後指をさされます。こんなわけで無残にも破滅
した先例がいくらでもあります。こうした場合、タイトルは無価値どころか害毒をもた
らしたといえるでしょう。
　しかし彼等のいささか常識外れとも思われる「熱心と友情」が、社会的に一応認めら
れたと考えて、私はこのタイトルに意義を感じています。
　今晩、最も信頼できる若手音楽家達の協力を得て、プロフェッショナルな「技術的探
究」をアマチュアらしい「熱心と友情」により合わせ、皆様に結び合いたいと念じてい
ます。
　まだまだ欠点だらけの今晩の演奏が皆様の心の琴線にふれることができれば幸いです。
これからも一層のお励ましを頂けますように−。