初演・光との出会いとして　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三善　晃

　混声用に書き直した「クレーの絵本２」のインクが乾かないうちに、池田さんとアルベ
ルネ・ユーゲント・コールが採り上げて下さった。男声用とは異なった転位や拡大がある
ことを含めて、声という媒質のちがいが、今回の「初演」の意味を明確にしてくれるだろ
う。
　私の中で、池田さんとアルベルネは、合唱のかけがえのない実質として、長い年月を貫
いている。その存在のお陰で、書き、歌い、聴くという営みが、私のなかでどれほど豊か
な光を与えられたか、測り知れない。今回も、池田さんの、豊かで直截な表現が私の譜に、
初めての形質をもたらしてくれることを、心から倖せに感じている。