マザー・グース・メロディ編曲にあたって　　　　　　　　　　　木下牧子

　昨年の夏の終わりに、アルベルネ・ユーゲントコールの池田明良先生から、マザー
グースの童謡集を混声合唱曲用に編曲するお話を頂戴しました。
　マザー・グースといえば、合唱ファンの間では、青島広志氏の合唱曲を思い浮かべ
る方が多いと思いますが、イギリスやアメリカに現存する、総数1,000 曲にも及ぶと
いうマザー・グースの童謡には、18世紀以来、魅力的でかわいらしい旋律が数多く付
けられてきました。
　今回取り上げた中で、"London Bridge"（ロンドン橋）や"Rock-a-bye,Baby"（子守
歌）などは、詞、旋律共に大変有名で親しみの深いものですし、"Pussy Cat"（ねこ
ちゃん）"Who Killed Cock Robin?"（こまどりを殺したのはだれ？）は同一の詞に何
種類もの旋律が残されているので、最もポピュラーな美しいメロディを選択しました。
"Mrs. Bond"（おかみさん今夜のおかずは何？）"On Christmas day"（クリスマスの
朝）"Three Blind Mice"（３びきのめくらのねずみ）などは、メロディラインが実に
簡素で、詩の面白さで人を引きつけるものがあります。

　編曲にあたっては、アルベルネ・ユーゲントコールの皆さんから、マザー・グース
に関する多くの資料を拝借することができ、特に平野敬一氏編纂の「マザー・グース
童謡集」「続マザー・グース童謡集」は、現存するメロディが約100篇、細かい注釈
と共に収められており、大変参考になりました。
　マザー・グースの童謡は、谷川俊太郎氏、寺山修司氏によるものを始め、多くの名
訳が出版されていますが、どれもが読むために訳詩でメロディラインに密着しないた
め、今回はそれらの訳詩を使用せず、メロディに合わせて浅井資子氏に詞をつけて頂
きました。また曲によって、池田先生の訳詩を使わせて頂いているものもあります。

　アルベルネ・ユーゲントコールには、昨年の「ティオの夜の旅」に続き今年は「方
舟」とマザー・グース・メロディの２曲を演奏して頂くことになりました。
　池田先生の指揮のもと、アルベルネの皆さんが、暖かく表情豊かな演奏を聴かせて
下さることと、大変楽しみにしております。