なるべく　シンプルに歌いやすく　　　　　　　　　木下　牧子

　アルベルネ・ユーゲント・コールに作品を提供するのは、これが二度目。とはいって
も、一度目はマザー・グースの編曲（「こまどりをころしたの　だれ？」というタイト
ルで出版されている）だったから、オリジナルとしては今回が初めての委嘱・初演とい
うことになる。
　打ち合わせで池田先生にお会いしたところ、今、中・高校生向きのいい作品が少ない
ので、彼等にも歌える、シンプルでしかも質の高い曲集がほしい、とのお話。私は正直
いって、愛と夢と希望にあふれたいかにも青少年向きの詩というやつが、ちょっと苦手
である。照れ臭い。どうしようかと思案していたところ、団員の方からの勧めで、「ま
ど・みちお」さんの素晴らしい詩の数々に出会うことができた。
　この曲集で、私が目指したのは、技術的にはなるべくシンプルに歌いやすくすること
（あくまで、なるべくであるが）、しかも音楽的には大人の鑑賞にたえる深い味わいを
持たせることであった。
　美しいソフトな響きが特徴の合唱団アルベルネ・ユーゲント・コールが、池田明良先
生の指揮の下、どういう初演を聴かせて下さるか、とても楽しみだ。